既存ファイバーを活かして800G時代へ
ProLabsがSCTE TechExpo 2026で発表した次世代光ネットワークソリューション
通信事業者やケーブル事業者では、動画配信やクラウドサービスの普及に加え、AI関連トラフィックの増加によってネットワークの大容量化が急速に進んでいます。一方で、新たな光ファイバーの敷設や設備更新には多くのコストと時間が必要となるため、既存設備を活用しながらいかに高速化を実現するかが重要なテーマとなっています。
こうした中、ProLabsはSCTE TechExpo 2026において、既存の光インフラを最大限活用しながらネットワーク容量を拡大するための新しい光接続ソリューションを発表しました。
SCTE TechExpoは、北米のケーブル事業者や通信事業者、ネットワーク機器メーカーが集まる業界最大級の展示会です。ブロードバンドアクセス、光伝送技術、DAA(Distributed Access Architecture)、ネットワーク自動化など、次世代通信インフラに関する技術や製品が一堂に会します。放送業界におけるNAB Showが大きな存在感を持つように、SCTE TechExpoはCATV業界や通信業界における重要な技術イベントとして位置付けられています。
今回ProLabsが披露した製品群は、アクセスネットワークからコアネットワークまでをカバーするものでした。共通しているのは、新たなインフラを一から構築するのではなく、既存設備への投資を活かしながら次世代ネットワークへの移行を進めるという考え方です。
既設ファイバーを活用して100Gへ移行
発表された製品の中でも特徴的だったのが、最大80kmの伝送に対応するBiDi(Bi-Directional)トランシーバです。25G SFP28および100G QSFP28のフォームファクタで提供されるこの製品は、1芯の光ファイバーを利用して双方向通信を行うことができます。
近年、通信事業者にはさらなる帯域拡張が求められていますが、そのために新たなファイバーを敷設することは容易ではありません。ProLabsは、既存の光ファイバー設備をそのまま利用しながら10G環境から100G環境への移行を実現できる点を訴求しました。新規インフラ構築に伴うコストや工期を抑えながらネットワークの高速化を進められることが、この製品の大きな特徴です。
DAAの普及を見据えた25G DWDM
もう一つの発表の柱となったのが、40km対応の25GチューナブルDWDMソリューションです。ProLabsによると、この製品は従来の25G DWDMで一般的だった約15kmの伝送距離を大きく超えることを目指した製品として開発されています。
背景にあるのは、北米CATV業界を中心に進むDAAやRemote PHYへの移行です。これらのアーキテクチャでは設備の分散配置が進むため、アクセスネットワークには従来以上の長距離伝送が求められます。
今回発表された40km対応モデルは、そうした需要を見据えた製品といえます。また、あわせて1Gナローバンドチューナブル製品も投入されており、アクセスネットワークからバックボーンまで、幅広い接続要件に対応できるラインアップとなっています。
AI時代に向けた800Gネットワーク
コアネットワーク向けには、800G QSFP-DD FR4および800G QSFP-DD LR4も発表されました。これらはデュプレックスLC接続によるシングルポート800G通信を実現する製品です。
現在、多くのデータセンターでは400Gが中心となっていますが、AIクラスタの大規模化やGPUサーバの増加に伴い、800Gへの移行が現実的な選択肢となりつつあります。高速化が進む一方で、ファイバー本数やポート数の増加も課題となりますが、ProLabsは800Gへの集約によってネットワーク構成の簡素化を図ろうとしています。
同社は近年、NVIDIA環境向けの光接続ソリューションにも力を入れており、今回の800G製品もAIインフラ市場を強く意識したものと考えられます。
AIクラスタの大規模化が進むなか、高速光モジュールには性能だけでなく、安定した供給体制も求められるようになっています。 そのため事業者やクラウドプロバイダーの間では、調達先を分散する動きも見られるようになりました。
共通するテーマは「今ある設備を活かすこと」
今回発表されたBiDi、DWDM、800Gという3つの製品群は、それぞれ対象とする市場や用途は異なります。しかし、その根底にある考え方は共通しています。
それは、既存の光ファイバー資産やネットワーク設備を可能な限り活用しながら、次世代の帯域要件に対応することです。通信トラフィックが増加し続ける中で、単純に設備を入れ替えるのではなく、既存投資を有効活用しながら段階的にネットワークを進化させるというアプローチは、多くの通信事業者にとって現実的な選択肢と言えるでしょう。
ProLabsが示した方向性
SCTE TechExpo 2026でのProLabsの発表は、単なる新製品紹介というよりも、これからのネットワーク構築の方向性を示す内容でした。既設ファイバーを活用した100Gへの移行、DAA時代を支える長距離25G DWDM、そしてAI時代を見据えた800Gネットワークへの対応という3つのテーマは、いずれも現在の通信業界が直面している課題と密接に結び付いています。
特にAIインフラ分野では、ネットワークの高速化と同時にサプライチェーンの透明性や供給継続性への関心も高まっています。光モジュール市場を取り巻く環境はここ数年で大きく変化しており、ユーザーがベンダーを評価する基準も、単純な価格や性能だけではなくなりつつあります。
そうした状況のなかで、ProLabsが800Gを含む高速光接続ソリューションの拡充を進めていることは興味深い動きです。今回の展示からは、光接続トランシーバのサプライヤーという従来の立ち位置にとどまらず、次世代ネットワークインフラを支える光接続ソリューションプロバイダーとして存在感を高めようとする同社の姿勢が感じられました。