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プロフェッショナルな映像編集環境向けにMellanoxイーサネットスイッチが選ばれる3つの理由

プロフェッショナルな映像編集環境向けにMellanoxイーサネットスイッチが選ばれる3つの理由

先日NHKが2017年度の放送番組編成計画を発表し、実用放送に向けて4K/8K番組の蓄積を行っていくとの
方針を明らかにしたように、映像放送業界は2020年まで敷かれている4K/8Kのロードマップに従って業界全体が
動いています。

そのような状況下、現在映像放送業界で一番IP化が進んでいるのは映像編集の分野かと思います。
データセンターで一般的に活用されているのは10ギガビットのイーサネットですが(映像プロファイルにもよりますが)、4K非圧縮データをリアルタイムに転送しようとすると、10ギガビットのイーサネットでは論理的な帯域幅としては足りても、実際のイーサネットの帯域幅としては余裕がない状態であり、映像編集で複数のストリームを扱おうとすると当然10ギガビットを超える帯域幅が必須となります。

例えば、4Kの映像プロファイルで一例を挙げると3,840 x 2,160 (4K解像度) x 12 bit (4:4:4 彩度) x 59.94(フレームレート) = 5.97Gb/s
上記の非圧縮データでは、音声やメタデータを除く、映像データ1ストリームだけでも、約6Gb/sのデータ帯域幅が必要となるわけです。

それゆえに、プロフェッショナルな映像編集業界では10ギガビットを4本束ねて伝送する40ギガビットスイッチ製品が活用され、また、一部の先進的なお客様では、従来の10ギガビットを25ギガビットとしたものを4本束ねて100ギガビットとするようなスイッチ製品が活用されはじめています。

では、その40ギガ或いは100ギガビットのイーサネットスイッチならどれでもよいのかと言うと、実はそうではありません。
映像編集業界でMellanoxのイーサネットスイッチが好評をいただいている理由として次の3つが挙げられます。

ハードウェアとして高性能

Mellanoxはイーサネットの市場では後発のスイッチメーカーですが、搭載しているスイッチOSもまだまだ機能の拡張が続けられ、今後L3機能の充実などが期待されています。
しかしながら、比較的小規模で運用されることの多い映像編集業界では、L3機能に多くを求めているわけではなく、それよりも、広帯域、低遅延そして低消費電力といったハードウェアに大きく依存するしっかりとした基本機能が求められています。Mellanoxは、他の多くの主要スイッチメーカーと異なり、コントローラー・シリコンを自社設計開発する数少ないメーカーです。

このシリコン・サプライヤーとしての実績は、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)と呼ばれる業界で主要なインターコネクトとして数多く採用されているインフィニバンド製品のそれを見れば明らかです。このインフラがあるからこそ、イーサネットスイッチ製品においても前述の基本的性能が卓越して優れているのです。スピードを競うレースに例えるならば、
カーブを曲がるのは他と同等だけれど、エンジンの差が効いてくる直線は爆速で走れるF1マシンのような製品をMellanoxは作っているのです。

総額でもお求め易く

一部のスイッチメーカーでは、スイッチ本体の価格を安価に設定する一方で、使用できるケーブルやトランシーバーなどのアクセサリーを高価な自社ブランド品に制限することで、スイッチ価格は比較的お求め易く見えますが、しかし総額では高額になってしまうことがよくあります。一方、Mellanoxではエンドツーエンドでより信頼性の高い製品を提供するためにこれらアクセサリー製品の内製化を推し進めており、その一部をOEM供給することでコストの圧縮を図りお求めやすい価格を実現しています。また、品質面では一般的なイーサネットケーブルの品質基準が10のマイナス12乗であるのに対し、その千倍となる10のマイナス15乗の品質のケーブル、トランシーバーを提供しています。他社とは次元の異なる品質基準を満足するカード、スイッチ、ケーブル、オプティックス全部まとめて買っても安心お得なMellanoxなのです。

ユニークなスイッチ形状

Mellanoxでは、通常のトップオブラック(ToR)と呼ばれるラック内のサーバーをまとめて接続し上位のスイッチに接続するタイプのスイッチの他に、1Uハーフの筐体サイズに12あるいは16ポートを搭載したスイッチシリーズも提供しています。

他のスイッチメーカーは、上述のとおり半導体メーカーよりスイッチコントローラー・シリコンを購入するため、原価効率を最適化するためにできるだけポート数の多いToR製品をメイン化することになりますが、自社でコントローラーを開発しているMellanoxは、一旦シリコンの開発費用を回収できれば、後はそのシリコンを柔軟に活用した製品開発が可能です。
その一つの象徴が1Uハーフラックの12あるいは16ポートのスイッチシリーズなのです。
また、Break-Outと呼ばれるケーブルと共に使うことで、40ギガビットのポートは10ギガビットポート4本に、100ギガビットポートは50ギガビットポート2本あるいは、25ギガビットポート4本として活用できます。

これに加えて、40ギガビットスイッチは、接続先がMellanox製品であれば独自規格ではありますがより高速の56ギガビットイーサネットとしても接続することも可能になります。この小規模なポート構成と、このような柔軟にポートを活用できることが、絶妙に映像編集市場にフィットしています。

これらの要素がうまく嵌ったことにより、映像編集市場においてはMellanoxは割と名前を憶えていただいているスイッチメーカーになっています。

Mellanoxはまだまだ成長過程にあるネットワーク・メーカーですが、このように他のイーサネットメーカーとは異なる特徴を持つ製品群をいくつか持っているメーカーですので、また機会を見つけてご紹介させていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
Mellanoxという少し特徴のあるネットワーク機器メーカーにご興味を持っていただければ幸いです