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ATTO Multi Path Director(Windows)を試してみました!

ATTO Multi Path Director(Windows)を試してみました!

そもそもパスの管理って

ストレージエリアネットワークでは、イニシエータ(HBA)からターゲット(ストレージ)への経路を複数にすることができます。特にFC (Fibre Channel)では、その柔軟な特性を利用してストレージまでの複数のパスを管理してパフォーマンス向上、システムの冗長化を図ることは基本的な手法です。このためパス管理ソフトウェアはOSにバンドルされている汎用的なものから、各ストレージベンダーが自社のストレージに特化したツールとして提供しており、もはやパス管理ツールはSANを構成する上で必須なアイテムといえます。

今回、ATTO からGUIでパス管理を簡単に設定、管理できる“MultiPath Director™”ソフトウェアがリリースされました。これはATTOユーザであれば無償で使用でき、Windows、Linux、MacOSに対応しております。ALUA(Asymmetric Logical Unit Access)にも対応しておりFC-HBAのユーティリティとしては、Marvell(QLogic)のQLogic Converged Console、SANsurferとBroadcom(Emulex)ではHBAnyware、One Command Manager がありますが、今回ATTOがリリースしたパス管理ソフトとしてではなく、ATTOの“ATTO Config Tool”や、“ATTO 360”のような、総合管理ツールとしての位置づけになります。

ATTOのMultiPath Directerは、パス管理に特化して、操作を簡単にしたユーティリティになり、MPDドライバをインストールすると、“ATTO config Tool” にパス管理の機能が追加されます。

さて、ではどれくらい簡単な操作でパス管理ができるか? Windows 2012 R2で試してみました。

 

 

この状態ですと・・・ゾーニングをしていないスイッチでは、通常であれば、ターゲットまでのパスは、HBAのPortから2経路づつ、つまりサーバのHBAの各ポートに2つづつTargetが見えるのでサーバとしては重複した経路(点線)から合計4つのLUが認識されてしまいます。

これでは、重複してしまったLUへの排他制御ができないためデータを壊してしまう危険性があります!
このため、一般的にパス管理ソフトを使って重複したパスを管理します。

 

ATTO MultiPath Directorのインストール(Windows、MacOS)

現在はまだATTOのサイトから、無手順でMultioPathDirector(MPD)ドライバは入手できません。
弊社営業担当者へご連絡いただければ、MPD を無償でご提供させていただきます。
ご提供した “win_drv_mpdirector_2190f1.exe”(HBA のドライバも同梱されてます)を実行して
いただければ、そのまま特別な設定をすることなくインストールは完了します。

ATTO Multi Path Director Driver(2.19.0f1)インストールしてパス管理を行ってみた!

インストールは簡単で、MPD のドライバのexeファイルを実行すると、ATTO Config Toolに “Multi Path Director”が追加されます。

 

 

MPDをインストール後(OS再起動要)Windowsの“Disk管理”で重複していたDiksが見えなくなりました!

 

つまり、2つのディスクに対して、冗長化が構築されたことになります。

 


ATTO Config Toolでは、2つのHBAのポートが表示され、それぞれにLUN0が表示されます。

このLUN0をクリックすると、パスが2つ管理されていることがわかります。

それぞれのパスを選択して、右クリックにてメニューが表示されますので、“setup”をにて動作方法とロードバランスの方法を設定できます。

Preferred  →ロードバランスを行う
Alternate  →代替パスに指定 FailOver設定
Disable   →未使用

(1)Operation Mode : ReadとWrite別々に設定できます。

Preferred→ロードバランスを行う
Alternate→代替パスに指定 FailOver設定
Disable →未使用

 

Round Robinの設定で、緑LUNに対してread/writeを実行!

Port1.2 のイニシエータ(HBA)のポートからきれいにロードバランスされてIOがPort4に接続されている緑LUNへ実行されている!

 

(2)ロードバランス ポリシー

ReadとWrite別々に 以下の3項目から、それぞれで設定できます。

・Round Robin
・Pressure
・Queue Depth

 

 

Round Robinの設定で青LUNに対してread/writeを実行!

Port 1.2 のイニシエータ(HBA)のポートからきれいにロードバランスされてIOがPort0に接続されている青LUNへ実行されています。

Port 1,2のIO数を足すと、Port 0の数になることから、見事に負荷分散されていることがわかります。

注※本検証はストレージエミュレータを使用しているためターゲット側のパスは冗長化できてません。

 

 

Round Robinの設定で、緑LUNに対してread/writeを実行!

Port 1.2 のイニシエータ(HBA)のポートからきれいにロードバランスされてIOがPort 4に接続されている緑LUNへ実行されている!

Port 1,2のIO数を足すと、Port0の数になることから、イニシエータ側のパスが見事に負荷分散されていることがわかります。

注※本検証はストレージエミュレータを使用しているためターゲット側のパスは冗長化できてません。

Round Robinの設定で、青、緑LUNに対してそれぞれread/writeを実行!

 

Port 1.2 のイニシエータ(HBA)のポートからきれいにロードバランスされてIOがPort3、4に接続されている2つのPort(LUN)へ実行されていることがわかります。

注※本検証はストレージエミュレータを使用しているためターゲット側のパスは冗長化できてませんが、HBAの2つのポートから2つのLUNへのIOが偏ることなく負荷分散できていることがわかります。

Round Robinの設定で、青、緑LUNに対してそれぞれread/writeを実行!

 

Port 1.2 のイニシエータ(HBA)のPort1を抜くと・・・・

残りの1本(Port2)のIOが上がる

Port1、2 のイニシエータ(HBA)のPort2を抜くと・・・・

残りの1本(Port1)のIOが上がる

 

以上、ATTO のMulti Path Director(Windows)の簡単な検証でした。

今回は、ターゲットがストレージエミュレータを使用したのでコントローラの冗長化がなく、ALUA(Asymmetric Logical Unit Access)での動作を確認できなかったが、インストールから構築まで、非常に簡単、かつ敏速に、そしてほとんど設定などなく、MPD(ドライバ)が自動でパスを検知して冗長構成、負荷分散構成を構築できました。

OSは違っても、MPD ドライバをインストールして、ATTO Config Toolで設定するというのは同じなのでMacOSでもLunixでも同じ要領で構築することができます。

ATTOのFC HBAを使って、ミッドレンジ以下のストレージ(別売のパス管理ソフトウェアを購入が必要)を提案する場合には非常に有効なソフトウェア(無償)であると思われます。

詳細は、弊社へお尋ねください。